2018/06/03

日本語訳:Lord of Soulsのクラヴィカス・ヴァイル登場シーン

TES公式スピンオフ小説、Lord of Souls(AmazonKindle引用:このへんから)でクラヴィカス・ヴァイルが出るところだけちょこっと

登場人物
・Attrebus→アトレバス:インペリアル22歳の帝国の王子様。緑眼金髪。
・Sul→スル:壮年ダンマー男性。短く刈り上げた黒髪。
(適当なあらすじ:スルさんの宿敵はなんかクラヴィカス・ヴァイルから力を盗みとってて強いっぽいので、なんかウンブラがカギになりそうだし持っていったら協力してくれないかな~という感じでヴァイルの領域にやってきたのでした)

 テーブルの上座の方では、男の子が木製の玉座に腰掛けていました。13~14歳くらいに見えるのですが、薄着の上半身からぽっこりとしたお腹が覗いていて、まるで中年のビール腹を思わせました。右の眉の上部からヤギの角のようなものが生えていますが、左側にはただれた傷がありました。素足をテーブルの上に置き、足首のあたりでクロスさせて、意地の悪そうな笑みを浮かべています。最も独特なのはその瞳でした。アトレバスはどういうわけか目線を合わせることができません。そのはずなのに、虚ろのように見えて、底が知れないがゆえの空虚を湛えている印象を受けるのでした。

 少年はスルとアトレバスを見て笑い声をあげました。それはぞっとするような笑いで、作り笑いのようでもあり、心の底からの狂気を感じさせるようでもありました。犬はテーブルの上にぴょんと乗り、「この方がクラヴィカス・ヴァイルだよ」と告げると、飛び降りて自分の体を舐めはじめました。
 
 少年のような人影は返事をするように頭を少し傾げると、指差して言いました。
「スル、お前、それをよこせ」
「我々は誠意のもとにこれを持って来た」スルは言いました。「契約について話がしたい」
「けいやくぅ」ヴァイルはスルのダンマー訛りを強調するように言います。
「ふぅん、そうなの?へえ…分かったよ。んじゃここに座って、あんたがデイドラロードをやりなよ。そしたら俺は席を譲って、あんたのとこに立ってバカみたいな定命の者の役をやるよ。自分とカブの区別もつかないようなさ。それかカブにできたニキビみたいな」彼は犬の方を向きました。「カブにニキビってできたっけ?」
「コブじゃないかな」犬は答えました。「ニキビじゃなくて」
「なんでもいいけどさ」ヴァイルは言い、スルに向き直りました。
「きちんとお願いする必要なんてないんだけどな。それは俺のものだ」

 アトレバスには早すぎて見ることができませんでしたが、何かが起こったようでした。スルはうめき声をあげ、膝をついています。ヴァイルは、依然として椅子に腰掛けていますが、その手にはウンブラがありました。
「俺が弱っちいだなんて思うなよ」ヴァイルは言います。「ここに来る連中はみんな、俺はもう弱くなってると思ってるようだけど、盗まれた力はほんのちょびっとなんだからな。仕事が少なくなったからって、あれこれ手を出さないっていうのが肝心なんだ。領域は絶好調のときよりもちょいと小さくなったけどな、俺は昔と変わらない強さなんだ」
「うーん、それは言いすぎじゃないかな」と犬は言いました。
「黙れ、バルバス。さもないと俺の犬に食わせるぞ」
「その犬ってのがオイラなんだけど」

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