2015/08/26

日本語訳:Chronicles of the Five Companions - Part2

ESOの書籍"Chronicles of the Five Companions"(UESPリンク)の日本語訳です。


第二章

再びこの私、スカイリムのリリスが預言者に代わって記す。と言っても、この章を書くように頼まれたわけじゃない。だけどここ最近の出来事を記録しておく必要があると思ったから。たとえそれがどんな結果に終わろうともね。

 預言者殿の予見と悪夢はどんどんひどくなっている。モラグ・バルがあたしたちの世界を支配した恐ろしい未来の光景を何度も視るそうだ。起きているときにはその影響はないけれど、夜にどうにか眠ることができるその貴重な数時間にさえ、予見がますます彼を苦しめるのだという。それがどんなものだか細かく説明はしてくれないけれど、冷や汗をびっしょりかいて飛び起きるんだ。明らかに預言者殿の正気はすり減っている。

 あたしたちの仲間、<<プレイヤー名>>はすごい腕前を見せてくれた。嘆きの監獄からの脱出はほんの序の口だった。ヴェスティージは全てをなげうつ覚悟で、あたしを苦悩の鋳造所から助けだしてくれた。あたしに命と魂と、それとまともな頭とが残ってるのは、この新しい相棒のおかげなんだ。
 
 今、あたしたちはサイ・サハンと王者のアミュレットに繋がるあらゆる手がかりを追っているところだ。預言者殿は、王者のアミュレットを取り戻せばモラグ・バルへ対抗し世界を救うことができると考えている。例によって、彼は着飾った言葉とまわりくどい言い回しばかり使うものだからあたしには分かりっこない。けど、趣旨ははっきりしてるんだ。

 ときどき、もしスカイリムを離れずシロディールへ行くこともなければどうだったろうと考えることがある。あたしは信ずるべき偉大な人の為に戦い、大切にしたいと思える人に出会い、それぞれの血と名誉を賭した。だけどそれだけの価値はあったんだろうか?あたしにとってのシロディールは、あの裏切り者のスキーヴァー、マニマルコと、ハナタレのおべっか使いなアブナー・サーンに初めて出会った因縁の場所だ。マニマルコがあたしたちを騙すべく用意した魅力と雄弁と、サーンの尽きることない罵詈雑言に慇懃無礼と、どっちがマシかなんて分からない。少なくともサーンに関しては、みんなどうすべきか知っていたけれど。

 預言者殿は、サーンの果たすべき役目はまだ残っているのだと言っていた。あいつが事態を好転させるだなんてとても思えない。結局、あのハナタレのクソッタレはソウルバーストの後にマニマルコの下にすっ飛んで戻って靴を舐めてたんだからね。自分の身と、帝都でのあいつの一族の地位を守るためなら何だってするだろうさ!

 そろそろ終わりにしないと。預言者殿が目を覚ましたみたいだ。

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ヴェスティージ→Vestige:面影、痕跡、名残り
預言者がプレイヤーにつけた名前。どうにもしっくりこないのでカタカナのまま残してみた。
>ヴェスティージとは?
 私が君に与えた名前だよ。今のお前は、かつての自分自身の痕跡でしかないのだ。魂の無い存在。満ちる時を待つ空の器。星霜の書が予言した通りだが、私の想像とは少々違っておった。
(チュートリアルクエストでの会話)

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