2014/05/16

Almalexia and the Mudcrabの日本語訳

TESOに登場する書籍"Almalexia and the Mudcrab"(UESPリンク)の日本語訳です。

アルマレクシアとマッドクラブ
ダンマー古来の訓話

 むかしむかしあるところに、たいそう困っているマッドクラブがおりました。足を引きずって歩き、咳が止まりません。彼の甲羅は歪んでいて、体中に痛みが走ります。いつも疲れ果てていて、もうすぐ死にそうだとみんなに言っていました。ある日マッドクラブは、誰ともなしに愚痴を言いながら、谷間をうろついていました。
 そこでシャルクが、自分の殻で添え木を作ってマッドクラブに差し出しました。「さあ、マッドクラブさん、これで君の足を支えればいい。」と言ってくれました。
 「いやだ、いやだ、いやだ」とマッドクラブは言います。「もうやってみたけど、うまく行かなかったんだ」
 「マッドクラブさん」と今度はアリットが話しかけます。「君の甲羅をかじって、動きやすいようちょっぴりヒビを入れてあげよう」
 マッドクラブは言います。「僕を騙そうとしているな、アリット!おやつに食べちゃうつもりだろう!」
 ちょうどこの地を訪れていたアルマレクシアは話を聞きつけて、卑しいグアルに姿を変えて谷間に現れました。
 「マッドクラブさん」と彼女は言います。「この薬を飲んで、君の咳が治るようにと作ったの」
 「グアル、君は治癒師なんかじゃないだろう。そんなものを飲むくらいなら、苦しんでる方がマシだよ」マッドクラブは答えました。
 そこでアルマレクシアが本当の姿を見せると、皆は驚き、息を呑みました。「マッドクラブよ」と彼女は言います。「皆は救いの手を差し伸べてくれた。しかしお前は拒んだ。不平を言うのが好きと見える。然らば、永遠にその身が癒えることはないだろう」
 こうしてアルマレクシアは、求めぬ者は救われない、と私達に教えてくれたのです。

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